無限季節
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今回はカプ物じゃないかな
事務所の戦闘メンバー、宮田&キチョウのケンカっぷりを書いてみようということで・・・
事務所の戦闘メンバー、宮田&キチョウのケンカっぷりを書いてみようということで・・・
朝・・・
気が付けば小鳥がさえずり、朝の新聞配達のバイクが走り去る音を聞きながら、イクトは事務所の一室でパソコンと向き合っていた。
もうすぐしたら朝食の準備をして、荘汰を起こし学校に行かせる時間。
いつもなら爽やかオーラで笑顔を振りまいているイクトだが、ここ最近の徹夜のせいでまともに眠れておらず目の下には薄い隈ができていた。
だが、その寝不足とももうすぐ、おさらばできる。
この書類を完成させたら、仕事は終わる。
あとは荘汰を見送れば、自由時間・・・部屋の掃除などは仕事から帰ってきた宮田に押し付けるつもりでいた。
あの後、予定通りに朝食を作り荘汰を起こし、同じ時間に見送りをすると、イクトはフラフラとおぼつか無い足取りで事務所奥の自室へと入っていった。
ふかふかのベッドに倒れこみ、かけていたメガネを側の机に置くと、そのままウトウトと眠気に誘われるまま目をつぶった。
イク(今回はなかなかにハードでした・・・荘汰君にまで心配させてしまって)
起きたら荘汰の大好きなおやつを用意して、いつも通りの笑顔で安心させてあげようと考えながら眠りへと落ちていく。
と思われたが、突然事務所の方でバタンと勢いよく扉が開く音が聞こえてくると、ギャーギャーと怒鳴り合いと、バタバタと大勢の足音が盛大にイクトの耳に入ってくる。
キチョ「元はといえば、お前があそこでドジを踏まなかったら、上手くできたんだ!」
宮「ちっげーよ! お前が勝手に出てきたから、ぶつかったんだろうが!」
キチョ「はぁ? 俺はちゃんと作戦言っただろうが!」
宮「作戦~? あんなん自分が良いとこ取りするために考えたヘボ作戦じゃね~か」
影「二人とも、ケンカしないでください・・・おじさん、止めてくださいよ~」
与太「俺が? 無理無理」
仕事から戻った宮田・キチョウ・影次・与太郎の4人だ。
だが、宮田とキチョウは例の如く、仕事中に足の取り合いをしたらしく、ケンカしながらの帰還となったようで・・・
応接間に入った後も、ギャンギャンと言い合いは続いていた。
自分の部屋・事務室・応接間といった構造になっているせいで、二人の声はイクトの部屋にガンガンと響いてくる。
目を瞑ってやり過ごそうとするも・・・
キチョ「この間の迷い犬の時も、お前が追いかけるから」
宮「違う! お前がせっかく寄ってきてたのをビビらしたから・・・」
二人のケンカはエスカレートする・・・・・・
カッと目を見開くと、イクトは枕元に立てかけている愛刀を鞘から抜き、靴も履かずにズカズカと部屋を出ていった。
キチョ&宮『お前とはコンビ解消だ!』
と、二人が取っ組み合いしようとした瞬間!
バンッ!!!
イク「いい加減にしなさい!!!」
事務室のドアを勢いよく開け、目の前にいる二人向かって刀を降り下ろした。
振り落とされた刀は向かい合っている宮田とキチョウの間を通り抜け、応接間の床に刺さった。
その場の空気が一気に氷点下に変わった。
イク「宮田君? キチョウ君?」
宮&キチョ『は・・・はい』
刀をすっと床から抜き、二人をキッと睨む。
片方ずつ目の色が違うせいで、睨んでいる顔がさらに恐く見え、二人はゴクッと生唾を飲み込んだ。
いつもニコニコ笑っているイクトが珍しく笑っていない。
イク「お二人が犬猿の仲なのは重々承知しています・・・が!」
すらっっと刀を二人の鼻先に向け
イク「私の許可無くコンビ解消はさせません!
二人が立派なコンビになるよう、今後・・・二人には同居してもらいます! ここで! 私の監督の元で!」
宮「ちょ! イッ君?!」
キチョ「冗談じゃない! なんでこんな馬鹿と!」
と二人が意義を申し立てようとしたが、ギロッと睨まれる。
イク「・・・・・・こうも毎回毎回、仕事から帰ってくるたびケンカされてたんじゃ、こっちの身ももたないんですよ」
イクトの寝不足にも限界がきているようで、身体が少し揺れている。
それでもどうにか意識を持たせようと、眉間を掴み何度も押さえる姿を影次が心配そうに見つめていた。
イク「いいですね・・・明日から早速、キチョウ君には事務所に泊まってもらいますから」
キチョ「~~~~~~~っ! イクトさんが・・・そう言うなら従うまでだ」
何か言いたそうだったが、これ以上イクトを怒らせても得にならないのは理解していた。
イク「宮田君も、今回は大人しく従ってもらいますから」
宮「・・・・・・・・・・・・・・・はい」
宮田は口を尖らせ、ムスッとしながらもイクトの言う事に従うことにした。
二人の了承を得たと同時に、イクトの身体がフラッと大きく傾いた。
与太「おっと!」
側にいた与太郎がイクトの身体を支えたことで、倒れることは免れた。
影「イクトさん!」
影次が駆け寄ると、与太郎が口に手をあて「眠ってる」と小さく言い、二人でイクトを抱え部屋へと運んでいった。
その光景を見ていた二人は、チラリと互いを見、「ふん!」とそっぽを向き合った。
そして次の日・・・イクトの言いつけ通り、キチョウは必要な物を持って事務所へやってきた。
イク「いらっしゃい、キチョウ君」
玄関に入ると、応接室から出てきたイクトにペコッと頭を下げる。
イク「キチョウ君、実はですね・・・ちょっと困ったことが」
キチョ「はい?」
イク「キチョウ君が寝泊りに使う部屋なんですが・・・設置していたベッドが壊れて部屋がメチャクチャになってしまったんですよ」
キチョ「そうですか、じゃあ、今回は・・・」
イク「なので、今日から1週間、宮田君と同室ということで」
キチョ「・・・・・・・え?」
ニコニコと笑顔を見せるイクトにキチョウの顔が引きつった。
イク「大丈夫、宮田くんの使っている部屋は広いし、もともと2人部屋だったのでベッドも置いてますので」
そう言いながらキチョウの荷物を一つ持ち「どうぞ」と2階に上がっていってしまった。
キチョウはガクッと肩を落とすも、イクトを怒らせたくないので何も言わずイクトの後についてあがった。
2階に上がってすぐ目の前に宮田の寝室があり、イクトはノックをし、
イク「宮田君、入りますよ」
と、中にいる宮田に声をかけ中に入っていった。
後ろからキチョウの中に入り、中にいる宮田とちらっとみた。
どうやら部屋の掃除をしていたようで、中には掃除道具が置かれ、一仕事終えた宮田が自分ベッドに腰掛けていた。
イク「相変わらず掃除は上手ですね」
宮「なぁ、イッ君! さすがにキツいよ、こいつと同じ部屋って・・・・」
チラッと扉の前に居るキチョウを見ると、視線に気づいたキチョウが睨んでくる。
イク「二人とも・・・いいですか」
まだキチョウとの共同生活に文句をつける宮田に、イクトはキチョウの荷物をベッドに置き、くるっと振り返った。
イク「確かに二人のコンビネーションは仕事の時には活用され、私達のカバーには十分役立っています。
ですが、それは仕事の時の一部でしか発揮されていません。そんな時だけ力を合わせたって何の意味もありません。
いざという時に二人の意思の疎通が上手くできてないと、必ず死人がでますよ」
イクトの真面目な顔に二人は言い訳もできなかった。
イクトの言い分は確かに正しい。前回も二人が上手く動けていなかったせいで、目標を逃がしてしまったことがあった。
二人の顔を交互に見たイクトはいつものようにニコッと笑みを見せ
イク「私も荘汰君達も二人を信じています。だから、そんな顔をしないでください」
そういうとイクトは宮田が使っていた掃除機を持つと、扉の方に向かって歩き出した。
イク「では、私は食事の準備をしてきますので、宮田君はキチョウ君の片づけを手伝ってあげてください」
そのままイクトはパタンと扉を閉めて、部屋を出て行き、部屋の中にはキチョウと宮田だけが残された。
宮田はため息をつき、キチョウは持っていた荷物をベッドの足元に置き、ドサッとベッドに腰掛けた。
部屋の中は無言・・・静寂が広がる。
キチョ「・・・・・・言っておくが」
宮「・・・・・・あんだよ」
キチョ「俺は恩人の社長やイクトさんが望むから、それに従っているだけだからな」
宮「俺だってイッ君じゃなかったら、断ってるつーの」
二人は睨み合いながらも『馴れ馴れしくすんなよ」と同時に言うと、そっぽを向き合う。
そんな二人の光景を扉の隙間から荘汰・影次・与太郎の3人がコッソリと見ていた。
与太『おいおい、あんな調子で大丈夫かい?』
荘『しょうがないよ、寝不足のイッ君の機嫌を損なった二人が悪いんだもん』
影『でも、本当に大丈夫なのかな・・・』
そんな三人に気づかず、キチョウと宮田は今だに火花を散らし合っていた。
次の日から、二人の共同作業が始まった。
荘汰が学校に行った後、イクトは作業をするため、二人に一緒に掃除や洗濯物、買い物を一任した。
が、これが上手くいかない・・・・・・綺麗好きなキチョウは事細かく家の掃除をやろうとするが、時間がないしここのやり方でいいと言ってくるので、朝から二人の怒鳴り声が響き渡る。
与太「やってるやってる」
与太郎は面白がって昨日からキチョウと同時に事務所に泊まっていた。
事務所でパソコンを打ち込んでいたイクトだが、応接間でガタン! ドタン!という音に痺れを切らし、ツカツカと部屋を出て行き、
イク「二人とも、まだ理解していないんですか!!!」
と滅多に怒鳴らないイクトも大声を上げ、二人のケンカに割って入った。
その後も風呂掃除を頼んだら、浴槽と洗い場を別で洗い合っていたら、宮田の腕が蛇口に当たってしまい、キチョウに水を思いっきりかけてしまいケンカ。
洗濯物をし終え、干していたらキチョウが持っていた洗濯バサミがスパンと手から離れ、宮田のおでこに思いっきりぶつかりケンカ。
1つの作業をするごとにケンカ、ケンカ、ケンカ・・・さすがのイクトも怒り疲れたのか4度目のケンカには一切、入っていかなかった。
事務所のソファに腰掛け優雅にコーヒーを飲んでいた与太郎は、机に両肘をつき頭を抱え込んでいるイクトを見て、
与太「止めにいかないの?」
とのん気に聞いてくるだけだった。
イク「これ以上、私が仲裁に入った所で意味なんてありませんよ・・・」
はぁ・・・と深いため息をつき、ボサボサになった頭をワシャッと掴む。
与太「まぁ、暫くはそっとしておいてもいいと思うよ。
ほら、何だかんだであの二人、案外上手くやってるし」
イク「いざという時にしか意思の疎通が取れてないんじゃ、荘汰君の為に動いてもらえないじゃないですか」
机の傍らに積んであった書類を掴み、トントンと小さな音を立てながら綺麗にまとめて行く。
そんなイクトを見ながら与太郎は天井に向かってタバコの煙を吐き出した。
与太「メガネ君も大変だね~」
とのん気に言ってくる与太郎に目をやるが、疲れているイクトはあえて何も言わず書類を棚にしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その後、ケンカは続いていたがイクトの最後の一喝に止められ、その日は最後まで睨みあいで一日が終わった。
そして夜・・・宮田&キチョウの部屋では・・・
宮「いいか! こっからは俺の領域だかんな! 絶対入るなよ」
キチョ「煩い、何度も同じ事を言うな」
どうやらお互いのスペースについて睨み合いが続いていたようだ。
キチョ「全く・・・イクトさんからの命令じゃなかったらお前なんかと一緒にいるのも嫌なのに・・・」
宮「こっちだって同じだよ・・・でも、怒ったイッ君は恐いし・・・大人しく言う事聞いた方が上だから・・・」
二人は深いため息をつき、ごそごそとベッドに入っていった。
電気が消され、暗い寝室に静寂が広がる。
目を瞑っていた宮田はちらっと隣のべッドで眠るキチョウを見る。
キチョウは壁の方を向き、宮田に背中を向けて微かに寝息を立てているようだ。
宮「・・・・・・・・・」
ゆっくりと身体を起こすと、足音を立てないようにキチョウのベッドに立ち、壁側を向いている顔を覗き込んだ。
宮(・・・黙ってりゃ綺麗な顔してる奴なのにな~)
と、眠っているキチョウの横顔をまじまじと見つめ、ふぅっと小さなため息をつき自身のベッドに戻ろうと振り返った瞬間、パシッと腕を捕まれ後ろに勢いよく引っ張られた。
宮「いっ!」
ゴッ!と思い切り壁に頭を打ったらしく良い音を立て、宮田は痛さに顔を歪めた。
宮「っっ~~~~」
何が起こったのかと涙目になりながらも目を開くと、さっきまで眠っていたキチョウの顔がドアップで映り、さすがの宮田も驚きで思考が停止し、キチョウの顔を見つめていた。
キチョ「人の寝ている顔を覗き見とは・・・良い趣味持ってる奴だな」
宮「! ちが・・・むぐっ!」
反論しようとしたが、キチョウの掌で口を押さえられ言葉を途中で飲み込んだ。
キチョ「大声出すな・・・向こうの部屋で眠っている社長が起きるだろ」
そう、二人のいる部屋の2つ奥には荘汰の寝室がある。
いくら二つ隣とはいえ、大声を出せば荘汰も何事かと部屋にやってくるかもしれない。
そうなったら、この状況をどう説明すればいいか・・・・・・考えただけで宮田の顔から血の気が引いた。
この状況・・・ベッドに倒れている宮田の上にキチョウが馬乗りになった状況。
キチョ「まぁ、俺は別にいいけどな」
スッと目が細まると空いている手で宮田の胸を服越しに撫で上げる。
さすがの宮田も驚き、ぶんぶんと頭を横に振り必死に抵抗した。
そんな宮田を見ていたキチョウの手が離され、宮田の上から降りた。
キチョ「ばーか、誰がヤるかよ。こっちに入るなって散々言ってたくせに、人のスペースに入ってきた奴にはお仕置きだ」
反論しようかとも思ったが、キチョウの言うとおりだ。
キチョウはふんっと鼻で笑うと、つかつかと宮田のベッドに歩いて行くと、
キチョ「というわけで今日はお前のベッドで寝るから、お前はそっちで寝ろよ。
これでおあいこだ」
そういうと宮田のベッドに入ると、さきほどと同じように寝息を立て始めた。
呆然とキチョウを見つめていたが小さい声で「くそっ!」と呟くと、そのまま布団を被りキチョウのベッドで寝てしまった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから1週間が経った・・・
最初のうちはケンカばかりだった二人だったが、時が過ぎる頃にお互いの事が分かってきたのか・・・
宮「おい、あれは?」
キチョ「ん」
と何が欲しいかも言ってないのに直ぐに相手に、その欲しい物を渡すことができるようになっていた。
荘「・・・・・・あれじゃあ」
影「熟年夫婦・・・だね」
庭で草むしりをしている二人を窓の内側から荘汰と影次がお茶を飲みながら眺めていた。
荘「イッ君、あの二人もういいんじゃないの?
そろそろキチョウさん、家に帰してあげたら? 毎日えーちゃんが猫の世話するのも疲れてきたって」
影「ちょ! 荘! 僕はそんな事一言もいってないよ!」
影次はオロオロと慌てて訂正した。
イク「・・・そうですね~。二人もこの短期間でお互いの事を少し理解できたみたいですし、明日には帰れるということを伝えますか」
ガタッと椅子から立ち上がり、イクトは庭に出て行った。
影「酷いよ、荘」
荘「なんで?」
影「・・・・・・もういい」
プイッとそっぽを向く影次に荘汰は頭を横に向け「?」マークを浮かべていた。
あの後、イクトから家に帰ることを許されたキチョウは少し嬉しそうな顔で宮田と最後の買出しに出ていた。
宮「・・・・・・嬉しそうだな~」
嬉しそうというが、端から見たらいつもと同じ無表情だが、宮田には少しの変化が分かるらしい。
キチョ「当たり前だ。事務所に泊まっている間、猫たちの世話を影次に頼みっぱなしだったからな。
早く帰って猫たちの世話をしなければいけないし、影次に礼もしないといけないからな」
ふんっと言いながらも口調は少し軽い。
一緒に住むうちにキチョウの機嫌が分かるようになったので、宮田はキチョウに悟られないように笑った。
宮「さてと、あとは・・・あそこの肉屋で終わりだ」
宮田はポケットからイクトに渡されたメモを取り出し、少し先にある肉屋に向かって歩き出した。
そんな宮田の後を追って歩いていたキチョウが、ふと視線を店と店の間の細い道へと向ける。
男「はいよ、豚バラ500g!」
宮「サンキュ、オヤジ! キチョウ、そろそろ・・・」
頼んだ肉を受け取り、自分の後ろに居るキチョウに視線を向けるとキチョウは壁に背をつけ、細い道の奥をジッと見ていた。
宮「?」
何をしているのかと疑問に思い、キチョウの方に歩き出した。
宮「何して・・・」
と声をかけようとしたら、キチョウが人差し指で「静かに」と合図をし視線をまた元に戻す。
キチョウの横から、道の方に眼をやると・・・奥の方に二人の男がいた。
よく見ると、一人の男が全身黒服の男にお金らしきものを渡し、男から小さい袋を受け取る現場だった。
キチョ「最近、この辺で麻薬の売買が行われているってイクトさんが言ってたな」
宮「マジで」
ヒソヒソと二人に気づかれないように小声で話す。
キチョ「おそらく、あの全身黒ずくめが売人だ」
すると男達はそれぞれ路地裏に続く道へと入っていった。
宮「よし!」
黒ずくめの男が道に入ったのを確認すると、宮田が男の後を負い始めた。
キチョ「あ、おい!」
宮「あいつの帰る場所を探っておけば、すぐに押さえれるだろ!」
止める間もなく宮田の姿も男と同じ道に消えてしまい、キチョウはボリボリと頭をかきながらも宮田の後を追っていった。
男の後を追っていくと、二人は使われていないビルの前に出た。
キチョ「ここが奴のアジトか」
宮「! ありゃ・・・」
自分の前を歩いていた宮田の声が聞こえ、視線を前に向けると・・・いつの間にか男が自分達の方を向き、その周りに同じ格好の人間が15人ほどいた。
男「てめぇら、人の後を付けるなんて良い度胸してんな」
宮「バレてたのか」
ペロッと唇を楽しそうに一舐めすると、宮田は荷物を足元に置き付けていたグローブをギュッと付け直し、フットワークを始めた。
キチョ「尾行だけじゃないのか?」
宮「むりむり、向こうはやる気マンマンだもん」
確かに男達は各々、鉄パイプ・ナイフを構えジリジリと二人の方ににじりよってくる。
キチョウは面倒くさそうにため息をつきながらも、荷物を宮田と同じように地面に置き腰に刺していた剣を抜き構えた。
キチョ「足引っ張るなよ」
宮「そっちこそ」
男達が一斉に掛かってくると同時に、二人も同時に懐に走り出した。
一番の前の男が鉄パイプを振り下ろす前に、宮田の拳が思いっきり相手の顔面に入り、男はそのまま崩れ落ちた。
宮「うっし!」
と喜んだのも束の間、間髪入れずナイフを持った二人の男が宮田の脇を狙って走りこんでくる。
その瞬間、目にも止まらぬ速さで宮田の横に入り込んだキチョウがナイフを持った男達を、剣の平で殴り飛ばす。
キチョ「余所見するな!」
宮「してねぇ・・・よ!」
と、宮田がぐるっと回し蹴りをしキチョウの後ろに迫っていた男を吹き飛ばす。
宮「油断してんなよ!」
キチョ「・・・・・・ふん」
二人の動きを理解し、お互いをバックアップする。
以前の二人ならできない行動だ。
次々と襲い掛かるチンピラを倒していくと、最後に残ったのは麻薬を売っていた男だけになった。
男は壁際に追い込まれガタガタと肩を震わせ、自分を睨んでいるキチョウと宮田を見上げていた。
男「あの・・・その・・・」
怯えている男に向かい二人は満面な笑顔を向けると・・・
男「ちょ・・・まっ・・・ゆ、許し・・・あぁあああああああああああああああ!!!!!!!!」
と、静かな街に悲痛な断末魔がこだました。
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その後、警察に連絡した二人が事務所に戻ると、ニッコリと・・・怒った顔で待機していたイクトに怒られた。
イク「無事に密売人を捕まえることができたからよかったものの・・・これがもし失敗し、逃げられていたらどうするんですか?」
まだ本格的に動くつもりの無かったイクトには、二人の勝手な行動が許せなかったらしい。
二人は視線を下に向け、イクトの話を聞いていた。
荘「イッ君、もういいじゃん。無事に犯人も捕まえて、警察のおじさんからもお礼もらったし」
イク「荘汰君・・・」
荘「二人のコンビネーションの賜物だってことだよ」
ね?と首を傾け、イクトに諭す。
さすがのイクトも荘汰の意見に従い、二人を許すことにした。
イク「今回は許しますが、次からは勝手な行動をしないように」
キチョ「すいませんでした・・・」
宮「すんません・・・」
困ったように笑うと、イクトは食材を持ち、
イク「さてと、今日でキチョウ君の泊まりも終わりですからね。
今日は腕によりをかけて作りますよ」
と、いつもの笑顔を向けキッチンに入っていった。
キチョ「ほらみろ、お前のせいで」
宮「なんだよ、お前だって最後は・・・」
と、言い合いを始める。
そんな二人を荘汰は面白そうにジッと見ていた。
その後・・・
宮「ばっか! あそこでお前が出てこなかったら俺が潰せたのに!」
キチョ「はぁ? お前が勝手に走ってきたんだろうが!」
せっかく意思の疎通が取れるようになったと思った矢先、二人のケンカは以前同様、変わっていなかった。
与太「あ~らら、結局効果なかったみたいだね~」
と、事務所の廊下の外から二人のケンカを見守る与太郎。
その隣で額に手を当て、成果が無駄になったことを嘆くイクト。
与太「で? また二人を共同生活させる?」
イク「・・・・・・遠慮します。私も疲れますので」
はぁ・・・とため息をつきながら、外に出て行くイクトに与太郎はニマニマと笑いながら、二人のケンカを眺めていた。
部屋の中では呆れたように二人のケンカを見ている荘汰と、二人のケンカを止めようとオロオロしている影次の姿もあった。
宮&キチョ『お前とのコンビは解消だ!!!』
と、いつもの台詞を言い、背を向け合う二人であった。
END
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HN:
氷野筑波(旧青空あおい)
性別:
女性
職業:
フリーター
趣味:
小説書き、絵描き、コスプレ
自己紹介:
スターフォックス擬人化中心女性向けサイトです。
狼さん×狐さん中心に、オールキャラやその他CPも書いていきます。
あとは、気に入ったジャンル等もちょこちょこUPしていきますので、どうぞ、ごゆっくりお楽しみくださいませ^^
狼さん×狐さん中心に、オールキャラやその他CPも書いていきます。
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