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無限季節

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いつものように天国に薬を貰いに行った鬼灯・・・

白澤×鬼灯


いつものように仕事をこなし、いつものような生活・・・

「・・・・・・」
「どうしたの、鬼灯君?」
「いえ、少し足に違和感が・・・」

いつものように閻魔大王に書類を運んでいると、履きなれた下駄に違和感を覚えた。

「・・・気のせいでしょう。
あ、大王、今から桃源郷に薬を貰いに行って参ります」
「うん、もうすぐインフルエンザの季節だからね~、お願いするよ」

いつものように笑顔で鬼灯を見送る閻魔に会釈をし、鬼灯は大きなため息をつきながらも桃源郷に向かって歩き出した。


桃源郷に足を踏み入れ、慣れた道を歩き目的の場所にたどり着く。

「失礼しますよ」

ノックもせずに建物の中に入ると、目の前の会計机に顔を伏せた状態の白澤の姿があった。

「・・・・・・」

返事はなく、顔を上げる様子も無い。
つかつかと中に入り、机越しに白澤の様子を伺う。

「・・・・・・・・・ご機嫌いかが!!!」

親指を白澤のつむじに当て、思いっきり押してやる。

「あだだだだだ!!! 何しやがる!!! ってか、マジで痛いし、つむじ押すのやめろ!!!」

突然の衝撃に白澤も声を上げずにはいられない・・・それどころか、鬼灯の馬鹿力で顔を上げる事ができず、机の上でもがいていた。
一通り白澤いじめを満喫すると、親指を離し機嫌悪そうに

「人が折角来てやったんですから、さっさと起きろ、このグズ」
「おまっ! それが体調悪くて寝てた人間に対する行動と言動かよ!!!」
「何が体調悪くて・・・ですか。貴方の場合は、酒の飲みすぎの二日酔いだろうが」

白澤はぶつくさと文句を言いながら、片隅に置いていた包みを鬼灯に渡した。

「ほら、さっさと金払って帰れ!」
「そうしますよ」

袂から財布を取り出し、言われた金額を払い踵を返す。

「桃太郎君はどちらに?」
「あ~、桃タロー君はお使い頼んでる・・・何? 用事?」
「いえ、白さん達が会いたがっていた事を伝えたかったんですが・・・」
「なんだ、それくらい僕から言っておくよ」

机に顔を伏せた状態でヒラヒラと手を振る仕草に、少し呆れながらも。

「・・・じゃあ、頼みます」

と言い、店の外に出た・・・瞬間。

「あ」
「・・・・・・ん?」

鬼灯の声に顔を伏せていた白澤が顔を上げ、扉の前で固まっている鬼灯に目をやる。

「何? 何か踏んだ?」

あくびをしながら、扉に方に向かい鬼灯の顔を覗きこむ。
鬼灯はいつもと変わらぬ表情ながらも視線は足元に置かれていた。
白澤の視線も自然とそちらに向く。

「あらら~、鼻緒が切れてる」
「・・・・・・さっきから違和感がありましたが・・・まさかここで切れるとは」

すっと下駄を脱ぎ、目の前に持っていく。
赤い鼻緒は見事に千切れ、鬼灯の目の前で宙吊り状態だった。

「・・・・・・仕方ありませんね」

鬼灯は切れた下駄を手に、もう片方も脱ぐとそれを持ったまま、歩き出した。

「何、裸足で帰るの?」
「そうですよ、早く戻って残った仕事をしないと今日も徹夜になるんです」

さくさくと柔らかい草の上を歩いていく鬼灯の後姿を暫く見ている。

「・・・・・・・・・」

ぼりぼりと頭をかき、

「おい」

呼び止められくるっと振り返る。
扉の前にいた白澤が自分の方に歩み寄り、ぱっと手を出す。

「・・・・・・なんですか?」
「直してやるよ」

その言葉を聞いた瞬間、鬼灯の顔が一気に変わる。

「突然なんですか・・・気持ち悪い」
「気持ち悪いは無いだろ! 人が折角直してやるって言ってるのに」
「人が・・・折角・・・誰も頼んでいません」
「あぁああああああ!!! もう!!! いいから!!!」

このまま言い合いをしても埒があかないと踏んだ白澤は鬼灯の手から切れた下駄を奪うと、ポケットからハンカチを取り出し口で引き裂いた。

「ほら、そこに座って待ってろ」

白澤の指差した所に小さな椅子が置かれていた。
よく桃太郎が座って作業している椅子だった。
鬼灯は渋々椅子に座り、白澤の様子をジッと見ていた。




「よし、できた」

物の数分で切れた鼻緒を直し、鬼灯の方に持っていった。

「ほら」

ずいっと下駄を渡す・・・が、鬼灯は受け取ろうとしない。

「? なんだよ」
「・・・・・・いえ、どうせなら履かせてほしいと思って」
「はぁ? おま・・・何気持ち悪いこと言ってんの?」
「おや、普通は直したら履かせるものじゃないのですか?」
「意味わかんないよ!!! なんで僕が男の・・・お前に・・・」

ずいっと足を出す。

「ほら、早くしてください」
「~~~~~~~~っ、わかったよ!!!」

しゃがみ、鬼灯の足を掴み、直した下駄を履かせる。

(・・・・・・あ、足の爪・・・赤い・・・ってか、こいつ・・・・・・美脚!!!)

着物の間から出てる鬼灯の細くて長い脚・・・男特有の筋肉質ながらも長さのせいで、ごついという印象が全く感じ取れなかった。
ドキドキしながら下駄を履かせ、掴んでいた足をゆっくり離す。

「・・・これでいいだろ」
「・・・・・・貴方にしては上出来ですね」

すっと立ち上がり、もう片方の下駄を履く。

「お手数おかけしました」
「本当にな!」
「では、また後日お礼をしに参ります」

軽く会釈をすると、そのまま目も合わせず歩いていってしまった。
後姿も見えなくなると、白澤はドサッと柔らかい草の上に倒れこんだ。

「あ~・・・、血圧上がって眩暈してきた」

綺麗な空に目を向け、さっきの鬼灯の行動を思い出す。

「・・・・・・あれはわざとなのか? それとも狙ってやったのか・・・食えないやつ」

くすっと小さく笑みを零すと、そのまま気持ちよさそうに眠りへと落ちていった。






その後、地獄に戻った鬼灯は・・・

「閻魔大王、ただいま戻りました」
「あ、お帰り~。どうだった?」
「はい、薬は無事に貰い受けました」
「そっか、じゃあ、それ医務室に持ってってくれる・・・あれ? 鬼灯君、下駄どうしたの?」

閻魔の言葉に、自分の足を見る。
赤い鼻緒の間に、白い鼻緒が巻かれている。

「・・・あぁ、桃源郷で鼻緒が切れまして」
「え、大丈夫?」
「問題ありません。あとで履き替えてきますので」

ぺこっと頭を下げ、閻魔殿を出て行く鬼灯。
その後姿を暫く見ていた閻魔が、ふと思い出した。

「あれ? そういえば鬼灯君・・・鼻緒直せるようになったのかな?」

医務室へと向かう鬼灯は少しだけ・・・どことなく嬉しそうだった。




END


あとがき
はい、突然の鬼灯の冷徹小説!!!
なぜかというと・・・ハマッたからですよ、奥さん!

そして本当は・・・鬼灯様は草鞋なんです!
でも鼻緒といえば下駄・・・ということで、今回は下駄という設定で書きました!

次回は鬼白にしようかな~

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